日本妙好人協会

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金言金行集
2021年7月30日

 與市は農作物を賣(う)りて生活して居られたが

或日(あるひ)大根賣りに行き其銭で米を買ふて

歸(か)へる途中で或人から

 「與市さん一言で宜しいからドウカ貴殿の

御喜び心を聞かせて下さい」

 と呼び止められたので與市は

 「之れ見て下さい今大根を賣(う)つた銭でお米

を五升(ごしょう)買ふて来ました、之れで二三日

はお米の心配がないと思へば嬉しいことじやと

喜んで居(お)ります、此(これ)以外に私の

喜び心とて ありませんと如何(いか)にも五升の

米の買へた事が嬉し相にながめて涙をながして

御念佛申して居られた、



  與市同行喜びのあと より

  (妙好人 椋田 與市さん)

金言金行集
2021年8月3日
 永く生死をへだてけるとは、一念の時 娑婆に

居ながら、生死を隔てゝ下さるゝなり。

 况(たと)へば大海の魚をとらんとして猟師が

網(あみ)をひきまはす。

 其(その)網の中に入たる魚は、まだ大海の中

に居れども、網を以(もっ)てへだてられて、もはや

外へ逃ることはならぬ。

 今 金剛堅固(こんごうけんご)の信心を得たる

人は、其一念のときに、心光のなかに攝護

(しょうご)して、光明でへだてらるゝ故に、もはや

生死の海にあり乍(なが)ら、外に逃ることは

ならぬ。 生死にあり乍ら、生死をへだてられて、

遂に命終れば、自然(じねん)の淨土に往生を

遂げ奉るなり。


  秀存語録より 佐々木 月樵 撰
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