日本妙好人協会

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金言金行集
2020年6月28日
また、あるとき山の中をひとりで通っていると、

おそろしい大犬にでくわした。

くわれると かくごしてして、念珠をかけて犬に向っ

て ねんぶつしていると、犬は行ってしまった。

おそのは、あとで涙ぐんでいった。

「私は、十方諸仏にも見すてられたと あるが

もっともじゃ。犬にまで見すてられた、おそろしい

ばばじや」。

深いさんげが、如来の御もよほしであろう。

普通なら念仏したら犬がにげたと ご利益主義に

おちて自分をほこる、それを犬から助からぬ身を

しらされて、それが念仏の母胎となるところに

人並(ひとなみ)仏法をこえた おそのの、いのち

がけの聞法の果がある。


「『若不生者』の もし というおことばは、

この そのがいわせました」

といって泣いたのも、「親鸞一人がためなりけり」

と同じ信境であろう。



おそのさん

信者群像より。

金言金行集
2020年6月30日
 おそのの信歌

〇法水で自力の化粧おとされて
  
もとのすがたで まいる ごくらく


〇あなたより

きかせてもらうた丸合羽(まるかっぱ)

手さえ出さねば ぬれるけもなし


〇機を見れば

どこをとらまへ正定聚

法に向へばうれしはずかし

も、とおとい。おそのは嘉永三年 八十歳で逝った。

釋尼妙果。墓は田原町竜泉寺にある。



信者群像・三河のおそのさん
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