日本妙好人協会

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金言金行集
2020年8月17日
大浜の吉右衛門婆(きちえもんば・ばば)

この婦人は吉右衛門に嫁(か)してきた時から、

寝室に雨傘一本をいつもかけていた。

そのわけを姪のこう女にこういった。

「私はね、仏法きいたり語ったりすることが主人の

気に入らず追い出されることがあったら、いつでも

出ていかれるように、こうして一本の傘を用意して

おくのじゃ。

お前もそれくらいの心がけしていなされ。」

このすて身の決断と聞法が、この人を不退の

ぼさつにそだてあげた。

八木浜の嘉右衛門がきて、これまできいたことを

いろいろ話すと

「お前さんのはネグソウなってあるねい。

わたしのは、今もらいたてで、ぼつぼつと湯気が

立ってある」といった。

ネグソウなっているとは、信の固定化であり、

ものしりであって、信そのものではないのである。

「ぼつぼつと湯気が立っている」

そこに信が生きておどっている。




  江州(滋賀県)の妙好人

東浅井郡大浜の吉右衛門の老婦人 信者群像

金言金行集
2020年8月18日

 ある人が彼女に胸のもやくやを語ると

「私もそうじゃ。たくさんあるが、そのまま積んで

おく、天にもとどくだろう」

「それをどうしますか」

「何をいうぞい、今死んでいくものが、そんなのに

相手になっていられようかい」



吉右衛門の老婦人  信者群像より
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