日本妙好人協会

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金言金行集
2021年4月30日

 石見(いわみ)の国は温泉津の妙好人 浅原才市

(一八五一~一九三三)は、実に妙好人中の

妙好人である。

 浄土真宗だけでなく、仏教は何宗でもよい、

その何れにあっても、妙好人の資格を具えておる

不思議な人物である。

 所謂(いわゆる)絶無にして僅かに有るもの。

 彼は普通にいう妙好人だけでなくて、実に詩人で

もあり、文人でもあり、実質的大哲学者でもある。

 彼は自分の実地に直観したところを、そのまま

に記し出す外に、文字を知らず、分別的知能を

用意していなかったので、百巻にも上らんとする

日記帳のようなものに、たどたどしい筆を運び

やる以上に出なかった。

 しかし、それらを、多少(いささ)か概念的に、

物知り風に、文字を使うことを習ったものの頭で

解釈すると、誠に驚異の眼をきょろきょろ さする

のである。

 まず、二、三の例を引いて、読者に、この驚くべき

妙好人の境地や直観を紹介して見よう。

(以下、才市老の記するところを、読み易くする

ために、漢字に直したところが少なくない。)



   妙好人 浅原才市集 鈴木大拙 編著より

  大拙先生のまえがき

金言金行集
2021年5月3日

  ●才市よい。

    へ。
 
    今説教をしたわ、誰か。

    へ。 安楽寺の和上さんであります。

    そうではあるま〔い〕。

    へ。蓮如さんでありました。

    そうではあるま〔い〕。

    へ。弥陀の直説、

    なむあみだぶであります。


   

      (鈴木大拙)才市は項を改めて、

     左記の問答をやる。


   ●才市よい。

     へ。

     今念仏を唱えたわ、だれか。

     へ。才市であります。

     そうではあるま〔い〕。

     へ。親さまの直説であります。

     機法一体であります。



     (鈴木大拙)同じ冊子の少し後に、


    ●才市や、なんで、はたらくか。

      へ。わたしや、なむあみだぶで、

      はたらきまする。

      なむあみだぶつ、なむあみだぶつ。


  (鈴木大拙)才市はさらに進んで何の恐気も

  なく、喝破(かっぱ)して云く、


     ●才市や、如来さんわ、だれか。

      如来さんか〔い〕。

      へ。如来さんわ、才市が如来さんで

      あります。

      
     (大拙先生)又言う。


      ●才市が如来さんわ、どこに
       
       をんなさるか。

       へ。才市が如来さんわ、

       機法一体であります。

       ありがたいな。なむあみだぶつ

       なむあみだぶつ、なむあみだぶつ。


    浅原才市集 鈴木大拙編著

  妙好人・才市さん

    

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