日本妙好人協会

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金言金行集
2020年11月13日
老後の稱名

 師は毎朝早く起きて身を淨め、人の起きる時分

までに三部經を讀まるゝが常であった、平生(へ

いぜい)は珠数(じゅず)をもつて念佛の斷え間は

ない、師の談に

「往生の一大事に心がけてより書見もせぬやうに

なり、學問は進まなんだ」 と。
 
 又「若い時分なれば、學問に心を寄せねば

ならぬが斯(こ)う年を取つてからは、佛恩報謝の

いとなみが第一である」と

申された。


安心百話より 稲葉 道貫老師

金言金行集
2020年11月22日
 凡夫は駄目だ


 師は晩餐後 直(ただち)に寝具を出させ、燈火

(ともしび)を消さしめられた  随行員は隣室で適宜

に読書、圍碁(いご)或は雑話をする。

 或(ある)一人(ひとり)曰く

「もはや和上はお寢(やす)みであらうか」と、他の

一人(いちにん)曰く  「まだぢやらふ」 と。

  そつと襖(ふすま)を開(あく)れば、師は佛前に

端座(たんざ)して稱名して居(い)られた。

 是れは常のことであるそうな。 翌日、今の一人

(ひとり)師に申すやう「師はかやうに専心念佛し

たまへども、私共(わたしども)はとてもゆかぬ」と。

 師曰く「私も貴公達(きこうたち)と同じことぢや、

體(からだ)は佛前にあれども、貴公達が隣室で、

何を行(や)り何を話すかが好(よ)く分かつて

居る、まことにあさましき凡夫で、

心は駄目ぢやわい」。



安心百話より  稲葉 道貫和上
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