日本妙好人協会

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金言金行集
2020年6月9日
 記者「お爺さん妙好人傳にのせますよ」

源左「妙好人傳には未(ま)だまだ出されません

ぢや、これから監獄の御厄介になるかも知れま

せんぢやて」
 
 仲々吐けん言葉です。

記者「何是(なぜ)です。八十七にもなつてゐなが

ら」

 源左「具足の凡夫ですけんな、十悪五逆の罪を

もつた私ですもの」

私はただ頭を下げずにはゐられません。


   源左同行

(法の園・十月號)

金言金行集
2020年6月11日
「人は私を人間がよいやうに云はれるが、私が

喧嘩をせんけんですよ。喧嘩をする程源左には

智慧が

ありませんのぢや、それどころではありません。

腹の悪いことは、鬼や大蛇は肉を食ふが、この

源左は人の心を食ふ恐ろしい奴ですな、盗人(ぬ

すっと)をせぬと大きな顔をしてゐるが、大きな

大きな罪造りこの上なしです。」

こう云って稱名をとなへながら、さあ后住

(ごうぢゅう)さん(記者のことを云ふ)肩をもみま

せうと云ふ。

記者「日本國中探してもないこの寶(たから)のやう

な、佛さんの爺さんに濟みませんな」

と云へば

源左「私(わたくし)にはこれが商賣(しょうばい)

だけん、じつとしてゐては濟みませんぢや」

かう云つて、未だ若い記者の肩に手をかけて、

稱名しながらもんでくれる、ただなされるままに

身をまかせて、私は御勿體ないことですと心も

如来様にお禮(れい)をするばかりである。



法の園

妙好人源左同行と語る(上)より

(記者・辛川忠雄氏)

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